金利を中心に見れば、景気のサイクルがわかる。
サイクルが分かるので、投資の判断に使える。
投資でシッカリと財を成したいと思うなら、金利を見ましょう!
これが「金利を見れば投資はうまくいく」の本でお伝えしたいことです。
なぜ景気がよくなり、なぜ景気がわるくなるのか。景気がよくなる前に知ることはできないのか、景気が悪くなる前に知ることはできないのか。
それを可能としてくれるのが”金利”なのです。
どういう事ってことをまとめました。
書籍「金利を見れば投資はうまくいく」について
著者 | 堀井 正孝 |
発売日 | 2022/5/27 |
ページ数 | 286ページ |
評価(amazon) | 4.2 ★★★★☆ |
定価 | 1,738円 |
金利を見れば投資はうまくいくの概要
金利のことを知れば、きっと投資に役立ちます。
投資家にとって、これほど力強い味方はありません。
「金利」を知ることで「景気」を予測することができます。
そして、「景気」を予測することができれば、「投資」がうまくいくはずです。
本書をぜひ、皆さんの投資に役立ててください。
「金利を見れば投資はうまくいく」の要点と感想
金利は炭鉱のカナリアである
金利は景気の変化を教えてくれる炭鉱のカナリアである。
炭鉱のカナリアとは
炭鉱のカナリアは、何らかの危険が迫っていることを知らせてくれる前兆をいいます。これは、炭鉱で有毒ガス(危険)が発生した場合、人間よりも先にカナリアが察知して鳴き声(さえずり)が止むことから、その昔、炭鉱労働者がカナリアを籠にいれて坑道に入ったことに由来するそうです。
https://www.ifinance.ne.jp/glossary/souba/sou339.html#gsc.tab=0
この本を通して訴えたいことは、その1点です。
金利を見ていれば景気の変化を教えてくれている。変化の前に変化の節目がわかる。
投資で財を成したい人なら、こんなことを叶えることもできます。
- 景気がよくなる兆しをつかめるので、安い時期に株を買うことができる
- 景気が落ちる前の兆しをつかめるので、安く買った株を高く売ることができる
- 景気の循環を知ることもできるので、次はどの市場に投資すればいいのかもわかる
だから金利への理解を深めましょう、そして、見方をマスターしましょう!という内容となっています。
コロナショック前に金利は動いていた
本書の中では、コロナショック前にすでに金利が景気の変化を示していたということが具体的に説明されています。
コロナショックが起きる前から景気は減速を始めてました。
短期金利や長期金利はそれを証明する動きを示していました。
それに追い打ちをかけるようにコロナショックが訪れ、そのコロナショックによって景気が一気に冷えました。
次は景気をそれ以上冷やさないための金利操作を行い、景気を戻すための動きがみられます。
まさに景気の動きに先んじて金利が動いてますので、金利を見ていれば景気の動きを感じ取ることはできますよという内容になっています。
おさえるべき金利は3つだけ
景気を判断するためにチェックすべき金利はたった3つです。
- 短期金利 … 政策金利とも言います。中央銀行に支払う金利です。
- 長期金利 … 1年以上の金融資産金利。10年国債の金利等。
- 社債利回り … 企業が発行する債券の利回り
この3つの金利を見ていれば、景気判断を行うことができます。
短期金利
市場に出回る資金の流通量を調整するために上下動する金利です。
景気の変動を庁瀬売るための蛇口のような役割を担っています。
長期金利
1年以上の金融資産金利のことを指します。10年国債利回りは長期金利の一種です。
例えば10年ものの国債を満期まで保有した場合の、1年あたりの利率がこの長期金利になります。
長期資金の需要と供給を示す指標となっています。
社債利回り
債券市場における社債の流通利回りのことを指します。
国債は国が発行する債券の利率ですので国の信用力が根拠となりますが、社債は会社単位が発行主体となりますので、社債利回りはその会社の信用力が根拠となります。
簡単に言えば、ちゃんと期限満了まで会社が存在していて、元本も利息も返ってくるであろう会社であればあるほど、社債利回りは低くなり、その逆に、会社の存続が不透明度合いがあがるほど社債利回りは高くなります。
意識すべき3つの景気サイクル
金利を理解することが景気の流れを読み解くうえで役立つのですが、では、その景気というものはどういう流れを持っているものなのかがわからないと、景気の流れを読み解くことができません。
少しまとめて言いますと、金利を読むことで景気サイクルを読み解けるようになるのです。
では、その景気サイクルにはどのようなものがあるのかと言いますと、次の3つがあります。
余談ですが、地球規模でみた国別の景気サイクルにも順序があります
ちなみに…景気サイクルはアメリカからスタートし、そのあと、日本、欧州、新興国という順番で変化していきます。これも一つのサイクルです。
信用サイクル(10年サイクル)
景気と企業の信用力(財務面から見た健全性)は、10年サイクルで以下の動きを循環しているそうです。
- 調達金利の低下
- 借入拡大=信用悪化
- 調達金利の上昇
- 借入縮小=信用回復
これをグルグルと回っています。
金融サイクル(5年サイクル)
景気と金融政策を表すサイクルで、以下のような順序をグルグルと5年かけて回っています。
- 景気回復
- 金融引き締め(利上げ)
- 景気減速
- 金融緩和(利下げ)
これをグルグルと回っています。
在庫サイクル(2.5年サイクル)
景気と生産(出荷)・在庫の関係のサイクルで、以下の順序でグルグルと回ります。
- 売れ行き好調での在庫減少(景気回復)
- 生産増による在庫の増加
- 売れ行き不振による在庫の増加(景気減速)
- 生産減による最古の減少
これをグルグルと回っています。
長期金利・短期金利を用いた景気の読み方
景気サイクルがあり、それは金利の変化によって大きく左右されます。
そのため、金利を見ていると次のような景気サイクルの変化を察知することができます。
金利で景気後退局面を読み解く
金利には次のような特徴があります。
- 短期金利 … 景気の動きに慎重に反応する
- 長期金利 … 景気の動きに敏感に反応する
この2つの金利の特徴を生かし、その差から景気の局面を判断することができます。
- 長短金利差=長期金利 - 短期金利
その長短金利差がプラスに拡大しているのか、マイナスに拡大しているのかで景気の局面を判断することができます。
その見方の具体的なあれこれは本書にゆずるとして、2つほどの代表的な動きを示すと次のようになります。
プラスに拡大する=景気回復局面
長短金利差がプラスに拡大するときは、景気が回復局面にあるという見方ができます。
景気に敏感に反応する長期金利は、景気が良くなっていると感じ取るや否や、どんどん上昇していきます。しかし、短期金利はなかなか反応しませんので、短期金利と長期金利の差がどんどん広がっていきます。
そのようなことから、長短金利差がプラスに拡大すると景気回復局面にあるという見方ができます。
マイナスに拡大する=景気後退局面
上記にプラスに拡大する局面と正反対の考え方で、金利差がマイナスに拡大していくと景気後退局面にあるという見方ができるようになります。
景気に敏感な長期金利は、景気の冷え込みを感じてどんどん利率が下がっていきます。しかし慎重な短期金利はなかなか下がりませんので、長短金利差がマイナス方向で拡大していきます。
そのようなことから、長短金利差がマイナスに拡大すると景気後退局面にあるという見方ができます。
社債金利と長期金利を用いた景気の読み方
社債金利によって景気を読み解くという見方もあります。
その指標となるのが、社債スプレッドです。
- 社債スプレッド=社債利回り - 国債利回り
社債スプレッドが拡大している時期なのか、縮小している時期なのかで景気の局面を見ることができます。
社債利回りは企業の将来性に対する信用性と比例します。
- 社債利回りが高い = 将来性に不安が残る企業なので、高利回りを約束しなければ社債を購入してもらえない
- 社債利回りが低い = 将来性に安心できる企業なので、低利回りでも社債を購入してもらえる
このようになるため、社債利回りが大きい時は将来性に不安が残るときであり、基本的に”社債利回り>長期金利”の関係性は崩れませんので(企業よりも国のほうが信用力はあるため)、将来に不安が残る時期ほど社債スプレッドは拡大します。
てなわけで・・・
「金利を見れば投資はうまくいく」に書かれていることを簡単にまとめさせていただきました。
これでも基本的な部分にしか触れておらず、実際に書籍の前半部分で書かれていることしかまとめていません。
他にも具体的な事例を用いて解説をされていますが、そこをすべて載せるというのはさすがにいろいろと問題があると思いますので、書けませんでした。
しかし、その前半部分だけでも金利がなぜ炭鉱のカナリアと呼ばれているのか、そして、金利を知ると投資で儲けやすくなるのかもわかっていただけたのではないでしょうか?
- 金利と景気サイクルの関係性を理解すると、金利を通して今の景気がどうなっているのか知ることができます。
- 景気の今を理解できるようになると、次はどうなるのかのおおよその検討がつきます。
- 次がわかるようになると、投資での失敗はグンと減ります。つまり成功確率があがります。なぜなら、景気の変化に先んじた投資行動が可能となるためです。
景気が下がると局面に入ったなと分かれば、そこから資金を引き揚げて、これから伸びる市場へと資金を投じれば、損はしないし、資産は増えます。とてもシンプルです。
上記で少し触れましたが、アメリカを先頭にして景気のサイクルは動いていますので、アメリカが伸びたら次はどこが伸びるのか、その次は…という見方できるだけで、資金をどこに置けばいいのかに迷うことがなくなります。
しかも、それを分かりやすく把握するためのシンプルな管理表を作者さんは用意されており、それを書籍の後半でシッカリと丁寧に教えてくださっていますので、是非それは書籍を手に取ってみて、あなたの投資活動の一助として大いに役立ててもらえればなと思います。
必要な情報はすでにネット上に転がっているんだなってことに気付けるかと思います。